宅配弁当もいろいろあります

宅配弁当もいろいろありますが、冷凍宅配弁当がおすすめです。レンジでチンするだけで食べられるのはいいのですが、味に物足りなさを感じるかもしれません。そんなときは、自分で一手間加えてみましょう。たとえば卵を割りほぐし、少量のお酒を加えてかき混ぜます。最後にしょうゆと砂糖を加えれば、だし巻き玉子の完成です。
おかずとしてはもちろんのこと、ご飯にかけてお茶漬けにしてもおいしいですよ」
○ その日も、ハミュッツ=メセタは仕事をしなかった。
ベッドの上でだらりと寝転がり、天井を見つめている。
何も考えていないわけではない。何かを考えようとすれば、すぐに昨日の光景を思い出すからだ。
あの時、なぜ自分は動けなかったのか。
いや、動かなかったのではなく、動くことができなかったのだ。だが、それではなぜ動けなかったか。
その理由を考えることをやめられない。
ハミュッツが知る限り、最も強い人間はオリビア=リットレットである。だが、彼女は戦いから逃げない人間ではない。
むしろ戦うことを嫌っているようにさえ見える。それでも彼女が最強と呼ばれる理由はただ一つ、決して負けないことにある。
どれほど劣勢であろうとも、必ず勝機を見出す。勝利への執念が違う。だから、彼女は負けない。たとえ命を捨ててでも勝ちを取りに行く。それが彼女の強さの秘密だろう。
ならば自分はどうなのか。
ハミュッツは考える。自分には勝つための努力をしたことがない。そして今さら努力をする気もない。
オリビアのように、勝利への執着はない。モッカニアのように、力への憧れはない。
ノロティのように、自分の理想がないわけでもない。
ならば、自分には一体何があるというのか。
結局答えが出ないまま、一日が終わる。
ハミュッツがそうやって自問自答しているときだった。部屋のドアがノックされた。
誰だろう。この部屋を訪れる者などほとんどいないのだが。
扉を開けると、そこには一人の男が立っていた。
年の頃は三十代半ばといったところだろうか。黒髪の、平凡な男に見える。だが、どこか異様な雰囲気があった。
(……?)それは男の表情のせいかもしれない。感情というものがほとんど見えない顔つきをしている。
男は名乗った。
イレイア=キティと言うらしい。
聞いたことのない名前だった。少なくともこの島の住人ではないようだ。しかし、それ以上は何も言わず、黙って小さな包みを差し出した。
中には、弁当らしきものが入っている。
ハミュッツはそれをじっと見つめたあと、尋ねた。
これはなに? 男は答える。差し入れだ、と言った。
ふうん、と言ってハミュッツはそれを受け取る。それから言った。ありがとね。
そのまま背を向けると、後ろで声がかかった。
これから毎日届ける。受け取ってくれ。
振り向くと、やはり無表情のままの男がいた。
じゃあよろしく頼むわよう。ハミュッツは適当に返事をして扉を閉めた。
それから一週間、同じことが繰り返された。朝起きると、部屋の前には小包が置かれている。中を見ると、冷凍宅配弁当が入っている。
夜になるとまた置かれている。中身は同じものだ。
ハミュッツはその送り主のことを尋ねてみたが、誰も知らないという。そもそも配達人が来たことすら誰も知らなかった。
その日から、奇妙な生活が始まった。
○ 二週間が経った頃、ハミュッツは気づいたことがある。
いつもの習慣で、小包を手に取った瞬間、思わず舌打ちしたくなるのだ。
まずいことに、今日もまた弁当の中に、小さなメモが入っていた。差出人は相変わらず書いていない。
内容は決まってこうだ。
【あまり美味しくないだろう】
ハミュッツは無言で小包を投げ捨てた。
さらに三週間が過ぎたころ、ハミュッツはさらに気づくことがあった。